(1)ルミノール反応


 「ルミノール」と聞くと、警察の科学捜査をイメージする人が多いのではないだろうか。ルミノール反応を応用したルミノール試験は、血痕の鑑識に用いられる試験であり、現場から血痕を探す場合などに利用されている。この実験では、このルミノール反応による発光を実演した。


↑実験風景


<実験の概要>

準備物:水酸化ナトリウム 漂白剤(塩素系がよい) ルミノール

手 順:1Lビーカーに水500mLを入れ、水酸化ナトリウム4gルミノール0.23gを溶かす。
    この溶液を三角フラスコに取り、漂白剤を水で10倍に薄めたものを加える。すると、あら不思議、光る!!



 


↑光っている様子

仕組み:
 ルミノールに水酸化ナトリウム水溶液を加えると、励起状態と呼ばれる、内部で電子の運動エネルギーが高い状態(要は不安定)となる。これに漂白剤を加えると酸化され、さらに安定な状態になる。このとき、余剰のエネルギーが光として放出され、青白く発光する。

↓難解な反応機構の図 

 

 
 「3-アミノフタルヒドラジド」とは「ルミノール」の別名。
 アニオンとは、いわゆる「陰イオン」のことであり、「ジ」とは「2」という意味であり、「ルミノールのジアニオン」とは2価の陰イオンという意味である。2価の陰イオンとは、SO42-(硫酸イオン)やS2- (硫化物イオン)のように、-2の負の電荷を持つ陰イオンのことである。
 「励起状態」とは不安定な状態、「基底状態」とは安定な状態のことである。
 励起状態から基底状態へと移行する際、余分なエネルギーは、光や熱などの形で放出される。このルミノール反応では青色の光が放出されるのである。
 「hν」とは、光子(光の粒子)のエネルギーの式を表している。要するに「-hν」とは「発光」を表している。もう少し詳しく説明すると、「h」とはプランク定数のことであり、「ν」(アルファベットの“v”ではなく、ギリシャ文字「ニュー」の小文字)は振動数(周波数)のことである。光子の持つエネルギーは振動数νに比例し、その比例定数をプランク定数 hというように定めたのである。